スペインの女性のマッチョラテン批判

彼女はロンドンの英語学校のクラスメート。
バレンシアからやって来た彼女は、陽気なスペイン人のイメージは薄く、謙虚で恥ずかしがり屋の真面目な女性だ。
学校帰りのパブに、同じクラスのイタリア人男性がひとりでやって来た。
彼は、ガールフレンドと一緒に語学学校に通っている。
「彼女は?」
私たちに聞かれて、「来ないよ。だって僕が友だちに会うためにパブに来たんだもん。彼女と一緒じゃ楽しめないよ」と彼。
照れもあるのだろうが、そう答えた。
「まったく、イタリア人なんだから」
スペイン人の彼女はいつになく口調がきつい。
「ラテンの男は、マッチョなのよ」
イタリア人のマッチョぶりに腹を立てた彼女は、もちろん、スペインの男にも怒っているのだった。

イタリア人のマッチョぶりは、よく話題にのぼる。
ある日の授業で、「あなたの国の男性は家事をやるか?」と質問され、「よくする」と答えた男性がいた。
そのときに在学していたイタリア人の女性は、すかさず「あなた、どこの国の人?」と突っ込んだ。
「フランス」と男性が言うと、「あー、それなら納得ね。イタリアじゃ、そんなことありえないのよ」と長々と不平を訴えた。
イタリアでも、家事を手伝う男性は増えているが、一般には、まだまだ女性が満足できるほどではないという。

さて、パブにひとりでやってきたイタリア人の彼のこと。
最初はガールフレンドと同じクラスだったが、いろいろおせっかいを焼かれるので、すぐに別々のクラスを変てもらった。
同じクラスには、フランスからやってきた男性もいて、このフランス人も恋人とロンドンにやって来た。
フランス人の男性は、必ず恋人同伴で、パブに顔を出した。

イタリアもフランスも愛の国。でも、違いは大きいみたい。

1992年、ロンドンにて

(2014.01.15 08:09)

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