「家族がいるから会社を辞められない」という悲しい言い訳

先日、メディア関係の講演会で出てきた言葉に、目がテンになりました。
最近の新聞テレビの劣化についての話のなかで、「妻や子どもがいるから会社を辞められない、という事情もあり、意に反することを伝えざるをえない場合がある」というような発言があったのです。
「家族を養う」という考え方そのものに、私は疑問を感じているほうですが、時代をリードする知的職業(であるはず)の業界で、そういった言葉が出たのは驚きでした。
イメージ的に、自律した女性を妻に選ぶのかな、と思ってたので。
しかも、その業界では女性も働いているのに、男性しかいないような印象を受けました。
後で思い出したのですが、私が若い頃、テレビ局や広告代理店でバイトするのがはやっていて、その目的は夫探し。
この当時に結婚した人は今50代で、妻は専業主婦という可能性は高いし、子どもも大学生ぐらいなので、確かに、妻と子どものために、いやでも仕事を辞められいないかも。
でもね、女性に働く機会を積極的に生みだそうとしたり、女性が働きやすいような育児制度を取り入れたり、子どもの教育費を他の先進国並みに無料にしようといった議論をしてきたでしょうか?
働きたくない女性がいてもいいけれど、働きたくても働けなかった女性も多いはず。
妻が働いて生活費を分担し、教育費がほぼ無料であれば、男性は「家族のため」という言い訳をしなくてもすむかもしれない。
「家族を養うために会社を辞められない」という理由が、直接的ではないものの、回りまわって、“正しい情報が伝わらない”とつながっているとしたら、解決すべきはメディアの問題だけではないということになります。
飛躍かもしれないけど、まんざらってもないような気がします。

「家族を養うため」と男性が言わざるをえない社会、それが当たり前で疑問にさえ感じない社会が、これまで延々とつづいてきました。それでみんな幸せだったのだろうか? これからもそれを幸せとして継続していきたいのだろうか?

そう言い訳をする男性はカッコ悪いし、言い訳に使われる側(妻や子ども)はみじめです。
なによりも、その言い訳のために、事実を伝えられない人がいるということは、考えたくもないほどひどい話です。

(2012.07.25 14:08)

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