「女性が子供を持つことは、社会にとって有益である。なぜなら、仕事と家庭の両立を実現するには、共同体の支援が必要であるという事実を正当化するからだ」とエコノミストは言う。
「将来、母親を援助する空間が構築されるだろう。女性は中絶や避妊の自由を手に入れたが、それだけでなく、自由に出産するために最適な環境を手に入れなければならない。科学の進歩により、人間の出産が、人工的な生産にとって変わる恐れがある。科学的な人間の生産に将来おちいるのを阻止するための最後の砦が、母性本能だろう」と精神科医は言う。
母性の再認識に関して長年取り組んでいる歴史学者は、「母性を再考する最良の方法について自問している。というのも、母性を再考することはまた、父親の役目を考えることでもあるからだ。さらに、子供に対する関心についても考えることになる」
「経済的な視点から、女性の労働力は経済活動の重要なファクターである。女性は、国益という点で、もっと主張するべきだ」とエコノミストは言う。
行動すべきとはいうが、女性たちは主張しているのだろうか?
女性たちは夢を追うというより、先見の明を持っている。家事の分担はありえないとわかっているのだ。
しかし、女性たちは、政府の無関心な姿勢に絶望したりしない。なぜなら、女性も国民であり、その割合は多く、しかも、子供たちはこの国の未来だからである。
女性たちは、もはや男性社会に我慢するのではなく、働きやすい環境を作るために、明確で実用的な方法を主張しているのだ。
まずなによりも、政府側から全体的な政策の意図を示す必要ある。「専業主婦をモデルとした家族政策ではなく、現在の女性が求める家族政策であるべき」とエコノミストは言う。
企業の給料格差がなくなれば、カップルの収入が同等になり、男性も家事を分担するようになるだろう。社会に圧力をかけるには、特に母親たちが動き、強力なネットワークやグループを作らなければならない。
「母親の責任は、家庭内だけでなく、社会においても発達すべきである」と歴史学者は語る。女性たちがもっと国に働きかけ、どのような変革が必要なのか考えるべきだ。
経済的な利益や人口統計学だけでなく、エネルギーや優しさといった面で、母親は社会に貢献している。「母性愛を養うことは、より人間的なつながりを築くことであり、人と人との関係を示す好例となる」と精神科医は断言した。
「母性の束縛からの解放」のために戦うときである。「女性解放は、母親の解放を考慮に入れなければ失敗といえる」と、イギリスのフェミニストが主張している。
(2006年1月29日)
仕事と家庭の両立に悩むフランス女性
1999年にフランスの雑誌エルが行った調査結果です。
あなたにとって、仕事と家庭の両立は?
合計 | 子供ありの働く女性 | 子供なしの働く女性 | |
とても難しい | 13% | 14% | 12% |
かなり難しい | 47% | 53% | 42% |
それほど難しくない | 23% | 22% | 24% |
まったく難しくない | 17% | 11% | 22% |
仕事と子供の両立において、働く女性が直面する問題は?(2つ選択)
合計 | 子供ありの働く女性 | 子供なしの働く女性 | |
子供を預ける場所がない | 46% | 45% | 47% |
子を持つ女性への上司の理解 | 38% | 37% | 40% |
子供を預けるための資金 | 38% | 37% | 39% |
パートナーが家事を分担しない | 22% | 20% | 23% |
母親への社会の寛容さの欠如 | 20% | 22% | 19% |
無回答 | 2% | 3% | 2% |
子供を預ける方法として、働く女性を援助するために優先すべきことは?
合計 | 子供ありの働く女性 | 子供なしの働く女性 | |
補助金や税金面での援助 | 55% | 57% | 52% |
企業が託児所を創設する援助 | 40% | 37% | 43% |
共同託児所の数を増やす | 38% | 36% | 40% |
共同託児所の機能を柔軟化する | 29% | 30% | 29% |
無回答 | 2% | 2% | 2% |
働く環境として、子供と仕事を両立させるために優先すべき援助とは?
合計 | 子供ありの働く女性 | 子供なしの働く女性 | |
35時間労働内での就業時間の改善 | 55% | 54% | 56% |
第一子の出産休暇の延長 | 36% | 40% | 34% |
子供の病気休暇の日数増加 | 31% | 33% | 28% |
仕事の仕方を変化させる (30~40歳は少なく、その後は多く) | 28% | 25% | 31% |
男性のパートタイム労働の発達 | 10% | 8% | 12% |
父親の育児休暇の延長 | 9% | 7% | 2% |
無回答 | 1% | 1% | 2% |
女性の働く環境はほとんど向上していない。罪悪感、ストレス、疲労。「仕事と家庭の両立という問題は、つねに女性にのしかかっている」と女性エコノミストは語る。
家事分担については? 15年間で、男性の家事時間は3%増加したが、家事の80%は女性が行っている。
託児所は? いまだ不足している。3歳以下で利用しているのは8%のみ。
家で子供を子守するための経済援助や税金控除は? 見る見るうちに縮小している。子守のための補助金の減少は、資格を持つ女性に不利になっている。
教育費補助のおかげで、3歳以下の子を持つ25万人の母親が専業主婦へ戻っている。
67%が、「仕事と家庭を両立するのは難しい」と答えている。そのうち、3つのカテゴリーが特に苦しんでいる。35~49歳の女性において、正社員は66%、自由業で高レベルの地位についている人は69%、幼い子供を持つ母親は77%が「仕事と家庭を両立するのは難しい」と回答。
「子供を預けるのが難しい」と考えているのは45%。ベビーシッター不足、託児所の欠如、時間のなさが問題である。子供を神聖化しておきながら、社会は非協力的である。女性が直面するのは、子供はさほど重要ではないといまだに考えられている点である。
仕事において、38%の女性が「上司が理解してくれない」と答えている。
子供の世話に関して、57%が「子守りのための経済援助や税金控除の改善」を求めている。
託児所に関しては、37%が「企業の託児所の創設」を望み(パリ在住者は47%)、36%が共同託児所(パリ在住者は42%)、30%が「託児所の機能の柔軟化」を求めている。
仕事では、54%が「35時間労働内でのフレキシブルな就業時間」を強く求めている。
長期的には、39%の自由業および管理職が、「30~40歳は働く時間を減らし、それ以上は増やすといった、仕事のやり方を変える」ことを望んでいる。
休暇に関しては、40%の女性が、第一子の出産休暇の延長(スウェーデンは11ヶ月)、子供が病気になった場合の休暇日数の増加(スウェーデンは60日)を求めている。
さらに、ベビーシッターや保母の養成を要求している。
(2006年1月27日)