フランス自己啓発ブーム

2003年11月のレクスプレス誌「フランス人の幸せ探し」の特集のなかに、自己啓発に関する記事が載っていました。

記事を読み、昨年、パリの書店で自己啓発本を探してみたのですが、自己啓発コーナーは、精神世界や占いなどのコーナーの横にありました。

日本もこのジャンルの本が人気で、女性向けのソフトなものから、男性向けのサクセス本など、さまざまな種類が出版されています。

読んだことがないので、書店のコーナーを見ての印象だけなのですが、フランスは地味で硬め。男女の差はなく、「人間」を追求しているようでした。

レクスプレス誌の記事によると、自己啓発本の著者は、精神科医、宗教家、詩人、心理学者など。

ここでは、彼らを、心の傷を癒してくれる「現在の魔術師」と表現しています。

現在の魔術師が求めているのは、不正の追求や敵との戦いではなく、「世界、他者、特に自分自身と融和する」こと。

現代社会をありのまま認め、人間の欠点を魅力として堪能し、運命に従うべきだとアドバイスしています。

だからといって、無気力に留まることを意味するのではありません。

自分自身を探求し、掘り起こし、種をまく領域を教えてくれます。

現在の魔術師が強調するのは3つ。

自分は自分である
自分は自分に責任がある
自分の優れた面を表現しなければならない。

ただ、自己啓発本は、「我々の人生はプレッシャーや家庭環境、社会階級に決定されるわけではない」と社会学的な考えを拒否し、過剰な楽観主義を示すため、それがかえって絶望のふちに追いやることにもなるそうです。

つまり、“私”しか目に入らなくなり、ナルシストに陥りがちだといいます。

フランスにおける抗鬱剤消費量と自殺率の高さから判断すると、現代のナルシストは危険を含んでいるとのこと。

ここで、自己啓発本、ナルシスト、自殺が関連づけられて語られているところが、記事として興味を持ちました。

「“私”しか目に入らない」現象は、日本でも顕著です。

でも、日本では、ナルシストは若い世代を示すことが多く、レクスプレス誌の中心読者である中年男性の間で語られることは少ないかも。

日本の自殺防止対策も本格化してきたようですが、うつ病や経済的な面だけに絞らず、広い視野で語る必要があると思います。

再び、フランスの自己啓発本に戻りますが、これらの本は、自分の殻に閉じこもるのを防ぎ、理にかなった自己中心主義のための処方箋の役目を果たすそうです。

抑圧を取り除き、恐れを除去し、罪の意識を吹き払い、不幸から幸福を生み出すのが目的です。

記事では、20名ほどの自己啓発者を紹介していました。なかには、ダライ・ラマの名もありました。

(2005.06.25 13:18)

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