フランス児童書でみる男女差別

日本の小学生以下の子供に「大きくなったらなりたいもの」をアンケートしたところ、女の子の1位は「食べ物屋さん」、2位「保育園・幼稚園の先生」、3位「看護婦さん」だったそうです。

男の子のように、「スポーツ選手」や「学者・博士」は上位にこないらしい。

このような結果は、フランス的には、「幼い頃の男女差別教育にある」ということになりそうです。

というのも、フランスの児童書では、女性の登場人物のイメージは、古いステレオタイプの域から脱していないとか。

以下は、児童書と男女差別に関するフランスの新聞記事の抄訳です。


1996年から97年に、ヨーロッパの団体が行った調査によると、スペイン、イタリア、フランスの3カ国のあらゆる児童書を調べた結果、ほとんどが母親で、働く女性が登場したのは全体の15%。

仕事を持っていても、アタッシュケースを持ち歩くビジネスウーマンや弁護士などの仕事ではなく、店員、教師、看護婦だったという。

時計屋や靴修理など特殊な職業の女性は、いい性格にもかかわらず、不幸な結末に終わることが多い。

一方、男性の場合、35%が家族を養う家長役。

児童書は少年少女に直接影響を与えるため、このような結果は、子供のときから性差別的考え方を植えつける恐れがあると、調査を行った団体は危惧している。

子供はイメージをシンボルとして受け取るため、「父親は生活費を稼いでいるのだから、母親は家事をしている間、テレビを観ていてもいい」を正当化してインプットするという。母親の労働は、父親の仕事ほど重視されない。

このイメージは、少女に、独身生活か専業主婦かの選択を迫るものともいえる。

残念ながら、児童書は、現実の生活を描いているとは言いがたい。というのも、フランスでは、二人の子を持つ女性の70%が仕事をしているのだ。

少女たちに、白馬の王子様が現れるのを待つようなものではなく、現実をきちんと描いた児童書が必要とされる。


日本では、「桃太郎」の主人公が女性になるという、奇妙な男女共同参画が行われているらしいが、その割には、洗濯や食器洗いの洗剤のCMは、ほとんどがお母さんが主役。

「桃太郎」を女にするのは反対だが、だからといって、古いイメージを子供に植えつけるのも正しいと思わない。
さて、どうしたらいいものか。

(2005.05.06 00:19)

フランス5月革命から30年の女性解放:教育と仕事
フランスの女性解放運動の出発点となった1968年5月革命。1998年の仏女性誌の特集記事を参考に、教育の男女平等、仕事の男女差別撤廃、政治への女性参加の過程を追った。90年代までフランスは「男は仕事、女は家庭」という日本と似たような状況だった。
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