2000年頃のフランスの有機(オーガニック)農業政策

2011年3月、たぶん13日だったと思いますが、札幌でTPPの政府説明会が行われる予定でしたが、震災直後、「中止」のメールが届きました。

原発事故などの情報は遅いのに、こういう連絡は早いなぁ~、と思ったのを覚えています。

TPPで日本の農業はいったいどうなるんだろう、と憤りを感じます。

ちょっと古いですが、2003年のフランスの無農薬・低農薬農産物政策の話。

フランス語でBio(ビオ)は、無農薬・低農薬農産物などにも使います。

ビオ市場(有機農産物だけを販売する市場)、ビオショップ、ビオコーナー(スーパーなどの有機農産物売り場)など、ビオという言葉は、いまやフランスにあふれています。

「農業国フランスは有機農業の先進国」と思い込んでいたのですが、意外なことに、EU諸国と比較して立ち遅れています。

2003年にラファラン元首相に提出されたレポートを見つけたので、少し読んでみました。

フランスの有機農業の問題点、今後の展望などが詳しく書いてあります。かなりのボリュームのため、読破できるかわかりませんが、さわりだけ紹介します。

農業については専門外なので、日本との比較はできません。日本での有機農業の実態を調べようとしたのですが、よくわからず。もし、ご存知の方がいらしたら、教えてください。また、日本とフランス以外の状況も知りたいです。

このレポートは、1998~2002年に実施された調査をもとに作成されています。

フランスの有機農業は、農地面積の1.4%(2001年)でしかなく、世界レベルでは25位、EUでは12位です。

2000年からは増加はしているのですが、2002年の段階で1.8%です。

EUの他の国に比べ、有機農業への援助システムが徹底していないことが、立ち遅れの要因になっているそうです。

有機農業の規定は厳しく、有機農業を行うのは、経済的、技術的にとても難しい状況です。

教育や訓練のシステムも徹底していません。

とにかく、経済的な障害が大きく、有機農産物の関連産業を確立していかなければならないと指摘しています。

また、流通ルートの確保も課題です。

フランス人が有機農産物を購入する場として、スーパーマーケットが一番多く、そのため、有機農業者と大手スーパーとの新しい関係が、今後の有機農業のカギとなると伝えています。

農産物の価格を抑え、差別化することで、消費者にアピールしていくべきとのこと。
もちろん、消費者への啓蒙キャンペーンも欠かせません。

さらに、EUの規定にあわせ、より厳しいフランスの規定を緩和させる必要もでてきます。
国際競争のゆがみの是正、遺伝子組み換え農産物への規制なども考慮しなければなりません。

有機農業を、フランス農業発展と環境保護の切り札と位置づけ、推進していく姿勢が求められます。

総括部分はこのような内容です。

5大陸別の有機農業地比較では、オセアニアがトップで、全体の45%を占めています。
ヨーロッパは23%、南米21%、北米7%、アジア3%、アフリカ1%。

オーストラリアやニュージーランドは、消費者の意識が高く、有機農産物が一般化しています。

この地の農産物の40%が輸出され、特に、果物、小麦、油脂、ビーフがヨーロッパへ運ばれます。

アジアは遅れていますが、日本は有機農業に積極的と明記されています。

EU内における有機農地割合は、オーストリアがトップで11%。イタリア、フィンランド、デンマーク、スウェーデンと続き、6位イギリスは3.96%、7位ドイツは3.70%。ここからは2%以下で、ポルトガル、オランダ、ルクセンブルグ、スペイン、ベルギー、そしてフランス。次がアイルランドで、ギリシャが最下位です。

有機農業事業者の割合は、1位がオーストリア9.30%、そして、フィンランド、デンマーク、スウェーデン、ドイツ、イタリアと続き、フランスは2%で7位。その次がイギリスの1.71%。

フランスの農地のうち、有機農業へ転向した面積は、2000~2001年の一年で16%増え、有機農業地は27%増加しています。

その理由は、2000年5月の補助金の大幅アップにあります。

補助金に関して、表の読み方に自信がないのですが、例えば、野菜栽培を有機へと転向する場合、1ヘクタールあたり年間305ユーロ(約43000)を5年分で、合計1524ユーロ(約20万強)が支給されます。この金額は、1998年の151%増です。

それぞれの農産物(牧草やブドウ栽培、ハーブなども含む)により、補助金は違います。
この補助金制度をEU諸国と比べてみると、フランスはそれほど優れているとはいえません。

例えば、野菜の有機栽培転向補助金は、フランスが305ユーロですが、ベルギーは930ユーロ、オーストリア509~654ユーロ、スウェーデン545ユーロ、イタリア(本土)390ユーロ、シシリア島550ユーロなどいずれもフランスより多く、イギリスの144ユーロとスペインの258ユーロのみが少ない。

イギリスはすべての農産物で100ユーロ代と補助が薄いようです。

さらに、フランスとイギリス以外は、有機農業の維持費としての補助金も支給しています。

素人の目で読んだ情報であり、間違っている部分もあるかもしれません。
また、政府のレポートなので、色をつけている可能性もあります。

それでも、ヨーロッパの有機農産物のほうが、安心できます。

というのも、伝統を大切にし、利益本位に陥らない文化がヨーロッパにあるため、食に対しても無謀なことをしないような気がするのです。

日本はどこまで信頼性のある有機農業を行っているのでしょうか。

本当に真面目に有機農業を営んでいる方々には申し訳ないのですが、怪しい事件が次々と勃発し、つい疑い深くなってしまいます。

(2013年10月8日)

パリの店:おしゃれなオーガニックショップ Hedonie
野菜や果物、パンといった食品から、石けんなどの雑貨まで、約3000種類をそろえているオーガニックショップを取材した。製品はすべて味見をしてから厳正に選ぶという。グルメを喜ばすというより、お店のコンセプトに一致しているものをおくのがモットー。
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