フランスの脱原発派の声:MOX燃料に反対する専門家

2012年3月9日、アビニョン市役所で「フランス脱原発全国集会」が開催されました。
集会の企画者2人にお話をうかがいました。

マリー=エレーヌ・マンシノー (エネルギー経済専門家、脱原発団体A.V.N.I.R.代表)

なぜこの集会を企画したかというと、1年前の福島原発事故の被害にあった日本人との連帯、そして、より断固とした方法で、フランス人にフランスの原子力についてよく考え、問題意識をもってもらうためです。

フランスには58の原子炉があり、フランスのような小さな国には多すぎる数です。原発の廃炉、特に30年以上稼動している最も老朽化した原子炉の廃炉について考えなければなりません。福島第一原発が30年稼動した時点で廃炉にせず、延長したことを忘れてはいけません。原子炉の稼動年月は30年が限界であることを確定する必要があります。

大統領選挙前に、議論を持ち出すのはきわめて重要です。これまで一度もそうした議論がされてきませんでしたから。

メロックス工場では、ウランとプルトニウムを混合します。プルトニウムは自然界にはない化学物質です。これは原子力の核分裂で発生し、非常に危険です。たった0.9ミリグラムのプルトニウムで一人を死にいたらせます。

フランスでは年間大量のプルトニウムを生産しています。これは深刻な問題です。

フランスはまた、MOX燃料を日本に輸出しています。福島第一原発はMOX燃料を使用していました。

心配すべきことがたくさんあります。プルトニウムはα線なので、ガイガーカウンターでは検知できません。ですから、日本のプルトニウム汚染についてのデータをよく調べなければなりません。

フランス人はMOX燃料についてある程度は知っていたとは思いますが、今回、その重大さについてもっとわかったのではないでしょうか。

ルネ・ペリッソン(アビニョン市元副市長、緑の党)

私は技術者で、物理学者もあり、メロックス工場に反対する団体のグループの一員です。マルクール原子力施設にあるこの工場では、MOXと呼ばれる燃料を製造しています。

MOX燃料には7%のプルトニウムを含まれています。プルトニウムの半減期は24400年で、汚染された地域からなくなるまでに240000年必要です。プルトニウムで汚染された地域には数千年もの間、住むことができません。

ですから、福島原発事故の日、私はMOXを販売しているアレバ社に行きました。そこで、「MOX燃料はエコで経済的」と施設に表示されているのを見て、ショックを受けました。
フランスでは、MOX燃料は再生可能だと説明されています。これはまったく常識外れな話です。現実はまったく再生可能ではないからです。

MOX、プラトニウムは事故が起きて広がった場所を汚染するのです。

福島第一原発の周辺にプルトニウムを含むMOXが広がったのかどうか、まだわかりません。しかし、もしMOXが福島周辺の区域を汚染していたら、プルトニウムは重いので限られた区域ではありますが、そこは数千年も住むことができません。

フランスが日本の放射能汚染に加担したことを、とても残念に思います。自分の国、フランスに恥ずかしさを感じます。私たちフランス人が、脱原発するよう説得できないでいることが、非常に悔しいです。

私は数学も物理も大好きですが、数学と物理の限界を理解しなければなりません。原発で水を沸騰させるのを理解するのは限界があります。冷却材がなくなれば、核反応を止めることはできず、大惨事を引き起こします。数学的にも、物理学的にも、脱原発をできるだけ早く実現しなければならないのです。

(2013年12月26日)

 

フランスが懸念する再処理不可能なMOX燃料の危険性
日本の原発で使用されているMOX燃料はフランスで製造される。フランスでも、製造過程での労働者の被ばくの危険性や、使用済み燃料の処理方法などでMOX燃料は問題になっている。フランスの週刊紙の原発特集号(2011年10月)に掲載された記事の抄訳。

MOX燃料に関する記事一覧

フランス・アビニョンでの脱原発全国集会
福島原発事故から1年後を迎える2012年3月9日、フランスの原発銀座地帯アビニョンで、脱原発全国集会が開催されました。 原発立地で反対運動をされている方や放射性物質を輸送する国鉄労働者、核廃棄物処理場建設に反対する人など、フランス各地から...

脱原発運動に関する記事一覧

タイトルとURLをコピーしました