道民の頭越しでの泊原発3号機運転再開はありえない

調整運転中の泊3号機の最終検査を終えた原子力安全・保安院が先ほど行った記者会見をネットで見た。
会見は2時間以上におよんだが、質問に答える原子力安全・保安院の担当者は歯切れが悪く、返事に窮する場面もしばしばあった。
福島原発が収束しておらず、原発の安全性への不信が募るなかで、地元の同意もないまま本格運転に踏み切ろうという暴挙に、各方面から批判の声が上がっている。
(写真は7月7日に岩内漁港から撮影した泊原発)

泊3号機は定期検査の最終段階である「調整運転中」。北海道電力の説明によると、最終検査を申請したのは「保安院から7月8日から2度にわたり検査申請を促された」ため。
7月7日は、やらせメールの発覚受けて佐賀県玄海原発の再稼動の延期が決定し、菅首相がストレステストの実施を発表している。
原子力安全・保安院が北電に検査を促したのは、この翌日だ。記者会見で「経済産業省の独断で検査を指導したのではないか?」と問われた保安院は、「オプションとして検査を指導した」と苦し紛れともとれる回答をした。

また、泊3号機の運転再開には、原子力安全・保安院の検査に加え、原子力安全委員会で審議(11日14時より)で最終判断を仰ぐという異例のダブルチェックが実施されることになった。
しかし、保安院は、「今回の検査は法律に基づいたものではなく、審議会では、専門的な立場から意見を伝える。原子力安全委員会はそれに対し、コメントするにとどまり、法的なしばりのある見解を示すわけではない」と述べ、二重チェックとは名ばかりで、厳格な機能とはいえないことを明かした。
原子力安全委員会での議論が経産相は文書で伝えられるというが、その内容を公開するよう要求したのに対し、しぶりながらも了解した。

泊3号機の運転再開に向けた検査は、地元に説明がないまま、政府と北電が一方的に進めた。北海道知事の強い批判に、海江田大臣が「知事の判断を待つ」と釈明し、早ければ11日から営業運転の予定だったが、先送りされた。
「地元を軽視して申し訳ないと思うか?」と聞かれた保安院は、「知事から強いコメントが出たので、そう受け止めている」とだけ答え、謝罪の言葉はなかった。また、「北海道に出向いて説明するつもりはあるか?」の質問には、「地元からの要請があれば」と消極的な返答をした。

さらに、調整運転から本格運転への移行の際の検査と、運転停止から運転再開の際の検査が異なるかどうかについて、保安院はしばらく沈黙し、明言を避けた。「調整運転」を名目に、正規の安全テストをすり抜けて本格運転に移行させたい企図が見え隠れする。

経産相が今日の原子力安全委員会の内容を北海道知事し、知事がそれを「問題なし」と判断すれば、泊3号機は本格運転される可能性がある。
高橋はるみ知事は、泊原発のプルサーマル運転を許可し、今年の知事選でも脱原発は表明していない。知事を信頼していいのだろうか。
政府と北電に頭越しされた北海道知事、という面子の問題ははっきりいってどうでもいい。

最も蔑視されたのは北海道民であり、知事に説明する前に、まずは北海道の住民に、ここに避難してきている福島の人々に、そして国民にきちんと説明してほしい。

 


『<泊原発>の問題は何か』を読んで、奥尻島がどうしてできたか、日本海側プレート、活断層などの解説で、泊原発には危険がいっぱいだとあらためて知った。

3.11前に、岩内の高原ホテルに泊まった日の朝、カーテンを開けたら、まんまえに、くっきりと泊原発が見えた。爽やかな気分はふっとんだ。

気が滅入るだけならまだいい。北海道が全滅する前に、廃炉にしなくては。


泊原発3号機が営業運転に移行した。
あまりにも不名誉な全国初。言葉がない。

フランスのルモンド紙で、泊原発再稼動が報道された。
世界にも恥をさらす、本当に情けない。

日本で福島原発後初の再稼動
ルモンド紙電子版 2011年8月17日10時32分(現地時間、日本時間17時32分)

8月17日水曜日、3月11日の巨大地震および津波で起きた福島第一原発事故以来、はじめて、日本で1つの原子炉の再稼動が許可された。
北海道(北)に建設されている泊原発3号機が、”運転許可を交付され、16時間(フランスでは9時間)の営業運転を再開した”と事業者の北海道電力(Hepco)が発表した。高橋はるみ北海道知事は、4町村との話し合いを行い、原子炉の再稼動に”まったく異議がない”と北電側にたって宣言した。

日本の54原子炉のうち3分の4近くが、現在、メンテナンスか安全検査で停止している。地震や津波の危険性を理由に、より多くの日本人が再稼動の反対を表明している。

再生可能エネルギーへの依存に向けて

菅直人首相は、原発による電力供給を徐々に減らし、再生可能エネルギーに依存することに好意的であると述べている。しかし、経済産業省勢力は、政府による安全検査に合格したら原子炉の営業運転を再開することに賛成である。

北海道電力は、3月7日から3号機の調整運転中だったが、福島第一原発事故のため、営業運転へ公的には移行していなかった。経済産業省管轄の原子力安全・保安院は、最終テストは先週行ったと告げた。

(2011/08/17 19:54)

 

【フランス】原発のストレステストでストレス倍増
日本は欧州をならってストレステストを実施するというが、フランスではテストの基準や方法を理解しないまま、実施することになったという。2011年10月発行のフランス雑誌『カナール・アンシュネ』の原子力特集号に掲載された記事からの一部引用。

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