『VoCE』2008年8月号に掲載された記事です。
サミット直前企画! 道産子BEAUTY
北の大地の美パワーを、あますとこなくいただきっ!
北海道は6月前後が一年で最も良い季節。青空の下で食べるトウモロコシ、旬のウニ……。
美味な食べ物でお腹が満たされれば、表情イキイキで魅力アップ。
だけどちょっと待って!
食べてばかりでは芸がない。
おいしい北海道食材はコスメ原料としても美容界で注目の的。
秘密にしておきたい地元美容情報を教えます!
日本のスローコスメ発信地 今、北海道の食材が熱い!
四方を海に囲まれ、自然豊かな大地が広がる、北海道。この地の恵みは、まさに「自然の食料庫」と呼ぶにふさわしい。カロリーベースの日本の食料自給率は39(平成18年度、農林水産省)だが、北海道は約200%と圧倒的に高い数値を誇り、おいしい道産品は道民のみならず、日本中、最近では中国や台湾、韓国の人々の食生活を潤しているのだ。
ニシンやサケ、カニ、エビといった新鮮な海の幸を求めて、北海道を訪れる観光客も多いはず。牛乳や、チーズ、アイスクリームといった乳製品から、ジンギスカンやスープカレーにいたるまで、北海道でおすすめの食べ物をあげたら枚挙にいとまがない。
しかし、食べるだけで満足していては、もはや時代遅れ。体内に摂取して美しく健康になるのなら、スキンケアとして塗っても効果がありそう! というわけで、ここ数年、大手メーカーをはじめとするコスメ業界が、北海道の食材に熱い視線を注いでいるのだ。その美容効果を見逃しがちだった地元民も、「灯台下暗し」になってはいけないと、慣れ親しんだ北海道の食材に注目し、コスメの研究や開発に乗り出している。
また、日本女性の美へのこだわりは国際的に認知度が高く、7月に開催されるG8サミットで世界中のプレスから “道産子ビューティ”が注目されるのもありえない話ではない。スローコスメがブームの昨今、天然原料をふんだんに活用した北海道ブランドの美容商品は、各国で話題になる可能性も大といえる。
日本全国の女性たちよ、乗り遅れないで!
Part.1 海の恵みを愛でる!
北海道といって真っ先に思い浮かぶのがピチピチの魚介類やヘルシーな海藻といった海の幸。
日本海、オホーツク海、太平洋の沿岸でそれぞれ水揚げされる特有の海産物は美肌効果も大!
道産子素材1 サケ
おかずの定番が大変身、サケの恐るべきパワー
水産加工工場が多い北海道では、サケの皮の有効利用に着目し、コラーゲンの抽出・精製に成功。スキンケアや食品に使われ、道産子ビューティの新常識となりつつある。
サケ皮コラーゲンは無色透明なので、「魚臭いのでは?」との心配は無用。また、豚や牛を原料としたコラーゲンに比べ、低温で溶解し、肌になじみやすい。有効成分が肌の奥まで浸透し、保湿効果を持続させる働きも。しかも哺乳類のコラーゲンよりアレルギー性が低いというのもうれしい。
道産子素材2 ガゴメコンブ
昆布のネバネバで肌細胞イキイキ
メタボ予防などの健康効果で、ちょっとしたブームになっているのが、ガゴメコンブ。聞きなれない名前だが、函館近海に生育する海藻で、とろろ昆布などの加工品でおなじみのものだ。
ガゴメコンブの最大の特徴は、なんといっても“ネバネバ”。この粘りの主成分であるフコイダンやラミナランといった粘性多糖類は、体にいいだけでなく、美肌の強い味方だということが判明した。保湿性にすぐれ、皮膚細胞の再生を促進する働きで、ハリと潤いのある肌に。ガゴメコンブで体と肌の健康をキープしよう。
道産子素材3 チガイソ
食してダイエット、つけてスリミング、注目されずにいた海藻のすごい力
チガイソは道南(函館近辺)特産で、ワカメに似た食感の海藻。とはいうものの、北海道民でさえ口にする機会があまり多いとはいえない。食用としてより、むしろ美容効果で脚光を浴びはじめている。
チガイソエキスには、引き締め、体脂肪減少、保湿といった作用があるというのだ。なかでも、脂肪分解酵素を活性化させる働きはバツグンで、低カロリー。食べても塗ってもダイエットに効果あり!?
道産子素材4 海洋深層水
海の神秘が美しい肌作りに一役、ミネラルたっぷりの水で潤う
海に囲まれた北海道では、ミネラル分豊富で、清浄な海洋深層水が取水されている。粒子が細かい良質の海洋深層水は体内への吸収が早く、飲料としてはもちろん、スキンケアの素材としても利用価値が高い。
日本海に面した岩内の海洋深層水は、ケイ酸塩の含有量が国内一を誇る。また、流氷に覆われる知床・羅臼では、海水が凍る際に濃縮された栄養素が海底へ沈み込んで深層水となる。自然が生み出す水の恵みだ。
Part.2 陸の恵みを愛でる!
山や平野がおりなす雄大な風景を有する北海道では、さまざまな野生植物や農作物が育つ。
植物コスメへの関心が高まるなか、北の大地はヴェールにつつまれた、まさに秘密の美の宝庫!
道産子素材5 シラカバ
ロマンティックな樹木の雫で、体の中と外から森林浴を!
シラカバの幹から採取される樹液は、昔から利尿作用や便秘、湿疹などの薬効で知られていて、ロシアやフィンランド、中国といった地域で飲まれる習慣がある。この樹液は、糖分、多種のミネラル、アミノ酸、ポリフェノールなどを含んでおり、現代人の生活習慣病やストレスに最適な自然ドリンクなのだ。抗酸化作用にすぐれ、皮膚細胞の活性化を促進する効果も認められ、このところ競うようにコスメに利用されはじめている。
道産子素材6 米
低農薬で安心安全な田作りを、環境と体に配慮したお米パワー
ひとくちに「米」といっても多種多様。VOCE読者たるもの、食用はもちろん、コスメの原料となる米にもこだわりたい。ブランド米ブームのなか、やや出遅れていた北海道のお米だが、品種改良や土作りの工夫で味が向上し、近頃は全国的にもおいしいと高く評価されている。また、夏でも涼しい気候ゆえ、農薬を使用する回数が少ないのも、北海道の米作りの特徴。そんな北海道のお米からできた“米コスメ”に視線集中!
道産子素材7 ハッカ
住民の情熱で清涼な香りが復活、新たな伝統は美の世界で試される
ハーブとしておなじみのミントの日本名は「ハッカ (薄荷)」。その昔、世界市場の7割以上の生産高を誇っていたのが北海道・北見市だ。一時衰退したものの、地元農家の熱意もあり、再び人気が高まっている。
北見で栽培されている和種ハッカは、特有の清涼感を持ち、ペパーミントよりやわらかな香り。殺菌・防虫作用などでも知られている。食用としてはもちろん、蒸留したハッカ油は健康や美容の分野でも大活躍。
道産子素材8 モミ
木を無駄にしたくない思いから、体と心に効くピュアオイル誕生
北海道に自生するモミの木は、道民にはトドマツとして親しまれている、代表的な木のひとつ。モミ属の木から抽出される精油は、気管支のトラブルを緩和したり、むくみといった症状を解消する体液循環促進作用があるとされ、ヨーロッパでアロマセラピーに用いられている。林業の町・下川町では、間伐作業中に出るモミの木の枝葉を有効利用しようと、精油の生産をはじめた。芳香浴や石けんで森林の香りを!
道産子素材9 ハスカップ
野趣あふれる甘酸っぱさは、北海道で愛されている味覚
「ハスカップを知らない北海道人はもぐり」というほど、北海道では有名な果実。甘酸っぱい味わいで、ジャムをはじめ、果実酒やゼリーなどのスイーツなどで親しまれている。また、栄養価がとても高く、カルシウムはリンゴの10倍、鉄はミカンの8倍。さらに、ビタミンC・Eや、抗酸化作用で知られる、トコフェロールなど、美肌成分も豊富に含まれており、コスメの原料としても注目を集めている。
道産子素材10 エゾヨモギ
さまざまな効能を持つ北海道の自生ハーブ
和菓子に使うヨモギと違い、独特の香りを持ち、高さが人の背丈以上にもなるのが、エゾヨモギ。生命力のある植物のひとつで、道端や原野に自生し、北海道では山菜としても親しまれている。アイヌ語では“神なる草”を意味する「ノヤ」と呼ばれ、胃痛を軽減したり、止血作用があることで知られる。また、あせもの改善などには、入浴剤として用いられるそう。さらに、葉を煎じたお茶は、咳止めとしても効果的。
Part.3 動物を愛でる!
クマやエゾシカ、キタキツネにナキウサギと、北海道では野生の動物たちとの出会いが楽しい。
人間の暮らしを豊かにする動物たちに感謝し、その恩恵で健やかに美しく生きよう!
道産子動物1 馬
北海道の生活を支えて、昔も今も馬が大活躍
馬といえばサラブレッドがあまりにも有名だが、北海道の開拓に活躍した“道産子”も忘れてはいけない。足が短く頑丈な馬だけに、トレッキング観光の人気者だ。
ところで、馬から取り出した油脂・馬油は、リノレン酸といった不飽和脂肪酸が多く含まれ、人間の肌になじみやすい。植物油のようにサラっとした使い心地で、シャンプーや石けん、クリームなど、幅広くに利用されている。
道産子動物2 エミュー
ヘルシーな食肉の次は、保湿効果の高いオイル
最近、ニセコのスキー場は、冬のリゾートを楽しむオーストラリア人であふれかえっている。同じくオーストラリア原産の走鳥類・エミューもまた、北海道で飼育されて増加中。
エミューの肉は高たんぱく低脂肪で、日本人好みの味。さらに、皮下脂肪から抽出されるオイルは、リノール酸やオレイン酸が豊富で、美容効果が高く、スキンケアの研究が進められている。北海道発エミュー・コスメに今後も期待!