欧州の世界観 再発見 イングランド対ブラジル 2002

『北海道新聞』夕刊 「ビバ!サッカー」2002年6月22日

決勝までとっておきたかったイングランドーブラジル戦。
先取点を入れたのはイングランドでしたが、ブラジルがベスト4に一番乗りしました。
4年前に「ワンダーボーイ」として華々しくデビューしたオーエンも、今回は影が薄かったですね。
ここまでくると、テレビ映りより、なりふりかまわずゲームに集中する国のほうが強い。
ヘアスタイルに凝るのはいいけど、美容師呼びよせてもね…。
勝ち残っているチームの選手のほとんどが素朴な髪型ですよ。
ビジュアルではなく実力を楽しむしかありません。
ところで、この大会、イタリア人がかなりセコい性格だとわかるなど、サッカー以外の面でも面白い発見ができます。
例えば、実況&解説の相違点。
二カ国語の音声を切り替えてみると、その違いがわかるはず。
日本はひっきりなしに説明と分析を話し続けますが、英語解説は無言の時間が長く冷静。
興奮してうわずったりしません。
しかも、正統派クイーンズイングリッシュで、意味がわからずとも、なかなか格調高い感じです。
また、ヨーロッパメディアが映像を担当しているため、観戦する日本の有名人が無視されていることも興味深いところです。
海外の要人は画面に登場しますが、日本では知名度の低い人物だからか、何者なのかわからないで終わってしまうこともしばしば。
イングランドーブラジル戦も英国のアンドリュー王子が観戦していましたが、コメントがなかったみたい。
ヨーロッパ主導のW杯は、アメリカ式世界観に慣れている日本人にとって、別の角度から世の中を見るいい機会だと思います。
そういえば、自国が8強入りしても、アメリカ国民は無関心だったらしいけれど、ブッシュ大統領がサッカーファンだったら、「ブラジルに黒人はいるか?」などというつまらない質問をしなかったでしょうね。

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