『道新』セクハラ疑惑訴訟でセクハラ認めずも始末書提出

『週刊金曜日』「アンテナ」2017年1月27日号に掲載された記事です。

 

「セクハラの事実がないのに謝罪させ、始末書を書かせたなら、社員に対する人権侵害にあたる」
1月13日に函館地裁で行われた『北海道新聞』セクハラ訴訟の弁論終了後、原告側代理人の植松直弁護士はこう述べた。
この民事訴訟では、『道新』函館支社に勤務していた嘱託看護師の自殺と、社員2人のセクハラ、そして会社の不適切な対応との因果関係が争われている。第2回口頭弁論のこの日、会社側は、社員が謝罪文だけでなく、始末書も提出したと認めた。しかし、始末書も謝罪も、セクハラの事実を前提にはしていないとの言い分だ。
『道新』は調査結果を根拠にセクハラの事実を否定するが、その調査の公表を拒みつづけている。
この度の社員の準備書面では、調査に協力した社員2人にも「忘年会の他の参加者の供述内容について一切承知できていない」のが判明した。社員が『道新』に、「積極的な情報開示」を要求している。
また、会社側の準備書面から、「被害者が求めなかった」との理由で、第三者への聴取を実施していないこともわかった。
男女雇用機会均等法のセクハラ対策では、事実確認のための第三者への聴取が規定されている。さらに、当事者と第三者での事実関係の確認が困難な場合、中立的な第三者機関を利用する旨の指示もしている。均等法のセクハラ規定を軽んじ、謝罪で“手打ち”とする考えだったのであれば大問題だ。
北海道新聞社経営企画局は、「係争中の事案のため回答は控えさせていただく」とコメントした。
今回の法廷には、「女性と人権全国ネットワーク」(東京)や「北海道ウィメンズ・ユニオン」(札幌)からも応援に駆けつけ、原告側傍聴席は10人以上の女性で埋まった。
一方で、複数の『道新』社員から聞いたところによると、当の社内では「この件はもはや話題にすら上らなくなった」という。

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